元ウエディングプランナーが思うコロナ禍での結婚式する or しない

WEDDING

「結婚式は地元にいる親族だけで挙げることにしたから、ごめんね」

姉からの久しぶりの連絡は、延期していた姪の結婚式実施と残念なお知らせだった。

2020年5月に結婚式を予定していた姪は、コロナ感染症による緊急事態宣言の発令により結婚式の延期を余儀なくされた。

当時、東京でウエディングプランナーをしていた私は自分の姪だけでなく、結婚式を予定していたお客様の延期・キャンセルの相談や手続きに日々追われていた。世の中がそれどころではないという、今まで経験したことのない異様な光景だった。

三人兄姉の末っ子の私は妹や弟に憧れて育った。兄姉とは少し歳も離れていて姉は結婚も早かったので、私が叔母さんになったのはまだ十代の頃。

そんな私にとって姪は少し歳の離れた妹のようでもあり、自分で働くようになってからはお年玉や入学・卒業のお祝いなど、プレゼントを贈るのも楽しみの1つになった。

「結婚式用に新しいドレス買おうかな」「着物レンタルしちゃう?」と浮かれていたのは、コロナ感染症がやってくる前の話。

同年12月に行われた親族だけの結婚式は、挙式のみで食事会は行わずとてもシンプルなカタチになった。姉や家族から携帯に送られてきた写真を見て、仕事中にも関わらず泣きそうになりながらもグッとこらえる。

ヴァージンロードを歩く姿はやはり感動的で、目の前で見ていたらきっと泣いて……いや間違いなく号泣レベル。今見てもちょっとウルっと…はい、鬱陶しい叔母さんです…

仲の良い友人たちにも直接お祝いしてもらいたかっただろうなぁと、姪の気持ちを思うと切なくなる。あんなに沢山の「おめでとう!」を直接もらえて、自分もまわりもみんなが笑顔になるのは、やっぱり結婚式しかないと思う。

さらに時期を延期するという選択肢もあるけれど、年齢や仕事に子供のこと、今後のライフプランを考えると、延期をすることが必ずしも正解ではない。

姪のように招待客を絞って小規模で行うという選択肢もあるし、ウエディング写真だけ撮る、そもそも結婚式をしないという選択肢もある。

CMでもおなじみの「ゼクシィ」と、リクルートが運営する「リクルートブライダル総研」が毎年発表している2020年調査では、結婚式を実施したいとの回答は8割強も、実施率は約7割とコロナ禍で延期・キャンセルを余儀なくされているのがわかる。

逆にそれでも半数以上のカップルが実施をしているため、世の中では意外と結婚式が行われているのだ。

今回、新婦の親族として思ったことは、写真でも晴れ姿を見ることができて嬉しかったということ。直接お祝いが出来たらそれがベストだったけど、別のカタチでお祝いができれば良いかなと思っている。

新婦母である姉は親という立場で、もしまた延期をしたら今度はいつにするのか?親族が集まれるのか?と悩みは尽きず、気が休まらなかったと嘆いていた。親としてもやきもきするのだ。

そして、元ウエディングプランナーとして今思うことは、結婚が決まったら結婚式についても面倒がらずに二人で考えてみて欲しいということ。もちろん両親や家族の思いを確認することも大切。

「生まれて来る時と亡くなる時は自分では選べない。でも結婚式だけは自分で選べるのよ」新人プランナー時代に、母親のような大ベテランの先輩プランナーから教えてもらった言葉だ。

「結婚式をするか?」「しないか?」を二人で悩むことは、今後のライフプランを考えるきっかけにもなる。そして、二人の価値観や考え方を共有することもできる。

その中でケンカをしてしまうこともあるかもしれない。でもそれが二人の絆を深めるきっかけにもなるし、とても大切なことだと私は思うのです。

これは結婚式の準備段階にも共通することで、準備から当日までは決めなければいけないことが沢山あり、打合せ中にケンカをしてしまうカップルもいます。でもそれってこれからの人生でも一緒。

「準備が面倒」「コロナ禍でそれどころではない」「お金がもったいない」も、もちろん1つの考え方。でも「結婚式をする」という選択肢で少し考えてみると、今までとは違うものが見えるかもしれない。

結果、結婚式を挙げたカップルは「結婚式をして良かった!」という感想がなんと97.6%! 

女性より特に男性の方がその思いが強いように思う。いつも面倒そうに打合せをしていた新郎様に、結婚式の後に「打合せではやる気なくてすみませんでした。でも本当にここで結婚式を挙げて良かったです!」と涙ながらにお礼の言葉をいただくこともしばしば。

表向きには「ありがとうございます。そう言っていただけて嬉しいです!」とお上品に振舞っているものの、心の中では「でしょ!でし!」とガッツポーズをしていた現役時代(笑)

男性は結婚式へのテンションが低い分その上がり幅が大きいのだ。最終的にはそう思ってもらえるようにお手伝いをしているので、プランナー冥利につきる言葉だった。

そろそろご両親へご挨拶というカップルは、その機会にご両親の思いを確認してみるのも良い。今は必ずしも「結婚式をしないさい!」ではなく「二人のやりたいように」と、二人の希望を重視されるご両親が多い。

でもやっぱり親としては「結婚式はして欲しい」「晴れ姿を見たい」という思いが少なからずある。ご両親だけで結婚式の相談に来られる方も沢山いて「して欲しいけど強くは言えない…」複雑な親心なのだ。

そのため今は「自分たちのために」というより「両親に感謝の気持ちを伝えたい」と結婚式をするカップルが多いのも特徴。親孝行は出来るうちに!!

結婚式を行う会場もお手伝いをするスタッフも、感染対策を万全にして様々な工夫を凝らしながら、一生に一度の二人のための結婚式を行う準備をしています。

「お決まりの結婚式はつまらない」という方は、今だからこそのニューノーマルな結婚式を楽しめるチャンスかも?! 

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